子なし主婦、まだ働けるけど会社員辞めてもいいですか?

私はいったい何歳までこの会社で働き続けるんだろう?

私は6年前に結婚し、夫と二人で子なしアパート暮らし、平日は正社員として一般事務の仕事をしている。

私の部署の事務員は女の私一人のみ。A部長とB主任(ともに男)の3人で仕事をしている。

仕事の繁忙期は11~12月。

昨年のこの時期も私の仕事はやはり例年どおり忙しく、昼休みも削って仕事をこなし、業務終了時刻になっても仕事はどっさり残ったまま。

そんなふうに忙しく仕事をこなしている私の横で、上司たちは日中暇そうにスマホをいじったり、タバコを吸いに何回も外に出ていったり。

そして業務終了時刻の5分前になると、上司たちはガサゴソ自分の荷物をまとめる準備を始め、定時のチャイムが鳴るといそいそと帰っていく。

部下の私の仕事の様子を伺ったり、何か手伝おうか?と気にかけることもない。

一方、私はそのまま事務所に一人残って仕事を黙々とこなす。

戸締まりをして事務所を出る頃にはもう20時過ぎ。

真っ暗な駐車場にはほとんど車が停まっていない。みんなとっくに帰宅している。

他の部署の女性事務員たちもここまで残業することはないんだろうな。同じ事務員なのに、どうして私の仕事だけこんなにハードなんだろう。

他の部署の事務員は会社がこれまでに社員募集をして3人ほど人員が増えている。


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自分の部署も事務員を増やして欲しい。

思い切って総務に相談してみた。

「パカラさんの部署の事業は今の世の中の状況を見ると、これから先細りしていくかもしれないから、これ以上社員を増やすというのは考えられないね。A部長やB主任もパカラさんの仕事をできて当たり前なのに、ずるくて手伝ってやろうとしてないだけなんだから、どんどんやらせればいいんだよ。」

あのいつも俺様気取りで威張ってばかりの上司二人が私の仕事を手伝ってくれるなんて、とうてい考えられない。

私がどんなに忙しくしていても、電話一本とってくれない。

自分が送るべきFAXすら私に回してくる。

そんな奴らに私の仕事を手伝って欲しいと言ったら、きっと嫌な顔されるのは目に見えている。

そして部下の私から上司にお願いするのがどんなに気を遣うか。

小さな会社だから、数年置きに人事異動でメンバーが入れ替わるなんてこともない。

この先もずっとこの二人と顔を合わせてやっていかなければならないのだ。

思い切って総務に相談をもちかけたけれど、何の解決策も見いだせなかったことが私の気持ちをいっそうどんよりさせた。


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残業を終えて帰宅したある日、夫から「実家から祖父が亡くなったって連絡が入った。明日はお通夜、明後日はお葬式になるから、会社に2日間休みとってね。」

え?そんな急に言われても…… 

帰宅したばかりでまだスイッチが切り替わっていない私の頭は、明日やらなければいけない仕事のことでパンパン。

こんなに忙しい時期に休むなんて無理!1日休むだけでも大変なのに、連続で2日も休むなんてほんとに無理。

「そんな急に休めないよ、今ものすごく仕事忙しいんだから。」ととっさに口から出てしまった。

すると夫の顔色は急変し、「身内が亡くなったというのに、お前は仕事を優先するのか?そんなに仕事が好きなのか?仕事のほうが大事なのか?こっちは子供の頃可愛がってくれたおじいさんが亡くなって悲しんでるっていうのに…」

明後日の葬儀の予定の連絡は入ってきているが、明日の通夜のことについてはまだ何も連絡が入ってきていないという。

祖父の葬儀は隣県で、このコロナ渦で遠方の親族まで通夜に呼ぶのかどうか、迷っているのかもしれない。

「お通夜は呼ばれているの?もし呼ばれていないんだったら、明日は出社して、明後日は休みとってお葬式に出るようにしてもいい?」

仕事モードからまだ切り替わらない頭の私はまたこんなことを言ってしまう。

さっきの夫の怒りをまた再燃させてしまった。

「お前はまたそんなことを言うのか?明日もし急に通夜に呼ばれて、お前が仕事に出ているって言ったら、親族にどう思われるのかわからないのか?どうせお前はこっちの不幸を他人ごととしか思ってない、そんなやつだと思ったよ」

仕事のストレスで頭がパンパンなところに、夫から怒りをぶちまかれ、嫌みを言われ、私は涙があふれてきた。

私だって仕事が好きで、仕事第一で休みたくないなんて言ってるわけじゃない!

いつでも気兼ねなく休める状況なら、休めないなんてとっさに口走ったりしない!

夫の大切な祖父の存在が、私にとって関係ないなんて思ってるわけじゃない!

私は仕事のストレスと、夫に理解されない気持ちでどんどん涙があふれ、ぐしゃぐしゃになり取り乱していた。

ようやく落ち着きを取り戻してきた頃、夫は私をソファーに座らせ、「とにかく上司に明日、明後日と2日間休みをもらいたいと今からメールしなさい。身内の不幸で休むな、なんて言う上司はいないはずだから。」

隣で夫が監視する中、私は上司にメールを入れた。

「夜分に申し訳ございません。夫の祖父が亡くなったとの連絡が入りました。明日、明後日とお休みをいただくことは可能ですか?」

数十分後、上司から返信が届いた。

「できるだけ出社して下さい!!」

そのメールを目にして私と夫は唖然とした。

まさか、身内の不幸があっても出社を命令してくるような理解のない上司がいるとは…

そういえば明日、明後日とB主任に出張の予定が入っていた。

もし私が休めば、この繁忙期の大変な仕事をA部長が一人でこなさなくてはならなくなる。

それが嫌でこんな返信をしてきたのだろう。

語尾の!!マークに、絶対休むなよ!のメッセージをひしひしと感じてしまう。

「どうしよう…。なんて返信すればいい?」

夫に問いかけると、「もうこんな奴には返信しなくていい。」

これまでも私は度々上司の愚痴を夫に漏らし、夫はふんふんと聞き流していたが、この返信を目のあたりにして、この上司の人間性がやっとわかったのだろう。

結局私は出社するか否かの返信を上司に入れないまま寝てしまった。

翌朝になっても夫の実家からは通夜に出てきて欲しいとの連絡は入ってこない。

私はいつもどおり自分のお弁当の準備やら身支度をし、家を出る時間まで連絡を待った。

「やっぱり今日は会社行ってくる。もし通夜の連絡が入ったらすぐに連絡して。早退してくるから。もちろん明日はお葬式だから休みをもらってくるよ。」

そう言って私は会社に出かけた。

「おはようございます。A部長、昨晩は夜分急にメールしてしまってすみませんでした。」

振り返ったA部長は見るからに不機嫌な顔をしていた。

「俺のメール読んだの??」

どうやら私からの返信がなかったことに腹を立てている様子だ。

「すみません。通夜がどうなるのか夫の実家のほうから全然連絡がこなくて、今日休みをいただこうか、ぎりぎりまで判断がつかなかったもので…」

昨晩の!!のマークつきの返信の様子から不機嫌になっているのは予想できていたので、できるだけこれ以上怒りを助長しないよう私は低姿勢ですぐさま謝った。

少し機嫌を取り戻したA部長は「B主任が出張だからさぁ、パカラさんが休むと俺一人になっちゃうんだよねー。」

やっぱりそんなことだろうと思った。

「そうですよね。わたしもB主任に出張の予定が入っているので、A部長が一人になってしまうのを心配して、休みをとるかどうかすごく悩んだんですよ。」

自分の都合ばかり考えて、なんだこのくそ上司めが!と心の中で怒りを感じつつ、同情のそぶりを見せて空気を悪くしないように気を遣う私。

どうしてこんなにも上司に気を遣わなきゃいけないんだろう。

こちらの身内の不幸に、大変だね。の一言もない。

こんな状況の時くらい、こっちの仕事のことは心配しないで任せておきなさい!くらいのことを言ってくれる器の大きな上司に恵まれたい。

翌日は葬儀のため、なんとか一日休みをもらう許可を得た。

その日、他の部署の女性事務員が部屋に入ってくる度に「俺明日一人になっちゃうんだよね~。B主任は出張だし、パカラさんはお休みなんだー。」

部外者にも自分は大変なんだよアピール、こんなかまってちゃんの小学生レベルの上司にますます嫌気が増した。

 

葬儀に参列した翌日出社すると、案の定、私の机の上は書類で散乱している。

どれが処理済みで、どれが手つかずのものか仕分けて整理することから始めなければいけない。

私が休んだ日に上司がやってくれた仕事にはミスもよく見かける。

「ここの数量、間違っているようですが…」

一生懸命スマホをいじっている上司に話しかけると、スマホから目をそらすことなく、「メーカーに連絡して訂正してもらっといて。」

上司のしたミスでも私が直さないといけない。客先にもお詫びを入れなければいけない。

休み中にたまった仕事と、今日やらなければいけない仕事のダブルで忙しい中、余計な仕事が増えてますます時間が削られる。

スマホゲームに忙しい上司はまるで「昨日1日お前の仕事を手伝ってやったんだ。そのミスは俺のせいじゃない。休んだお前が悪いのだ。」とでも言いたげだ。

スマホをぶち壊してやりたくなる気持ちが湧き上がりつつも、スマホから一向に目を離さない上司の顔を睨みつけて「わかりました。」と冷静に返事をし、私は自分の席に戻る。

ようやく残業を終えて、帰ろうと時計を見るともう21時。

2日連続で休みをとっていたら、何時になっていただろうか?

冬の寒さ、外は真っ暗、たった一人で残業をこなす日々。

12月も終わりに近づくにつれて、私の憂鬱はどんどん積み重なっていく。

振り返るとこの時期、私は毎年こんな鬱々とした気分で仕事をしている。

私はあと何年この会社に勤めなければならないんだろう?

毎朝早起きして出社し、昼休みを削って仕事をこなし、嫌な上司にストレス感じる日々をこれからあと何年続けなければいけないんだろう?

定年の60歳まで働くにしても、まだ10年以上ある。

今年1年ですら続けるのがしんどいのに、あと10年以上も、と考えると気が遠くなる。

 

もう嫌だ、もう逃げ出したい、会社辞めたい、辞めたい、辞めたい……

 

子供がいてもちゃんと働いている人はいっぱいいるのに。

子供いないんだから正社員でフルタイムで働けるでしょ?

子供いないのに専業主婦?

せっかく正社員で働けているのに。

コロナ渦でも仕事がある恵まれた状況なのに。

夫にだけ働かせるの?

夫に万一のことがあったらどうするの?

辞めても収入は十分なの?

仕事辞めて何するの?

 

いざ仕事を辞めたら、こんな批判を感じてしまう。

周りの人からこんなことを実際に言われたわけではないけれど、自分の中から自問自答の声が聞こえてくる。

 

定時の17時で帰宅できる時期、仕事を終えて夕方アパートに帰ってくると、どこかの部屋から夕飯のいい匂いが漂ってくる。

もうこの時間で夕飯の支度ができているのか、羨ましい。

専業主婦だったら、昼間に今晩何にしようか?なんてメニュー考えて、買い物行って、余裕もって夕飯準備できるんだろうな。

夕方でもまだ明るい時期は子供を連れて散歩したり、公園で遊ばせている主婦もよく見かける。

こんなふうにゆったり幸せそうな時間を過ごしてみたいなぁ。


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どうして私は毎日会社の狭い部屋に閉じこもってパソコンに向かって仕事して、心がきゅうっと締めつけられているんだろう?

外は青空が広がって日々平和な幸せ感じている人たちもいっぱいいるのに、私は外を眺めてその青い空に気づく余裕すらない。

 

私はいったい何歳まで働き続ければいいんだろう?

40代半ば、子供いないけど、まだ働けるけど、会社員辞めてもいいですか?

会社辞めたら私は甘い、ずるい人間ですか?